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「さいはて山脈近くにある護衛士団、パルシアに白い翼を持ったロルカちゃんとミルカちゃんが落っこちてきたのは春の事でしたっけ」
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「そうね。ロルカは原因不明の高熱に悩まされていて、ミルカの方は記憶喪失。一体彼らは何者でどこから来たのか……それを知ろうとしていた護衛士達に立ちはだかったのは異形の怪物だったわ。アンデッドでもモンスターでもない怪物は、死亡したロルカの身体の中から飛び出してきたの」
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「う、うう……私も冒険で色んなシーンに遭遇しましたけど、やっぱり身体を引き裂いて現れる異形はグロテスクです。この時点ではどうやら星型の痣をつけられると異形が出てくる、ぐらいしかわからなかったんですよね」 |
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「それでも粘り強く近くのルシール=クァル神殿を調査していた護衛士達はついに手がかりをつかんだわ。神殿から天へと伸びる槍……ディアスポラの神槍という名の塔を発見したのよ」
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「この塔を上った先にミルカちゃん達、つまり列強種族エンジェルの暮らしていた空の大陸、ホワイトガーデンがあったんです。でもエンジェル達は突然現れたあの異形の怪物、ピルグリムに襲われていたんですね」 |
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「ピルグリムの対象に星型の痣と共に卵を産みつける、という治療法の無い産卵管攻撃の恐怖におびえながらも冒険者達はピルグリムとの戦いを開始した。そして見事にピルグリムの親玉的存在、ピルグリムマザーを撃破する事に成功したのよ」
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「よかったよかった……でも、突然現れたって一体ピルグリムはどこからやってきたんでしょうかねえ?」 |
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「知らん」 |
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「え、ええと……じゃあこことこことここで地上への降下を確認した3体のギガンティックピルグリムやその身体にしがみついていたピルグリム達の行方は」 |
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「それも知らん」 |
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「……なんとかわからないんですか、霊査とかで」 |
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「どうやって霊査しろって言うのよー! 霊査士は万能じゃないのよ!」
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「はうっ、す、すいませんです……」 |
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(「やば、ちょっと怒りすぎちゃったかしら? えーとフォローフォロー……」) |
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「さ、最初の問いはともかく、ギガンティックピルグリムの方は地上に降りたんだからそのうちなんらかの情報が入ってくるかも知れないわね。それにエンジェルも同盟に加入したし、決して悪い事ばかりじゃあないと思うわよ」 |
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「……そうですよね、うん。エンジェルさんと友達になれたのは嬉しいです!」 |