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「おお、先月の続きの合戦、勝ったのですか!」 |
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「そうみたいよ。カザクラの隊員達が援軍として駆けつけてくれたの」 |
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「ね、私が言ったとおりなんとかなったのです!」 |
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「たまたまなんじゃないの〜? いや、勝利したのは勿論喜ばしい事なんだけど」 |
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「うん、たまたまだと思いますよ」 |
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「……………」 |
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「でも、たまたまだとしても素敵じゃないですか。言葉が力になる、言霊ってやつみたいで!」 |
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「あー、このロマンチック乙女はどうしてくれようか」 |
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「お菓子をあげると良いと思うのです」 |
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「却下。0.5秒で却下」 |
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「あぅー……せめて2秒は考えてくださいよう……」 |
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「やなこった。んで、カザクラの隊員達の一部はセイカグドに残ったみたいね」 |
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「はりゃ、それはまたなんでですか?」 |
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「カザクラがまだ『マウサツの国救援部隊』だった頃に、カスミちゃんていう女の子と会ったんだって。その女の子はジリュウの『草』の子だったんだけど―――」 |
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「ちょ、ちょっと待ってください。鬼の巫女のカスミさんはドリアッドで草から生まれたんですか?!」 |
| 「全然違わい。カスミちゃんと鬼の巫女のカスミさんは別人。あと草ってのは国の為に働く盗賊の異名みたいなもんよ」 |
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「ははあ、なるほど、必殺仕事人なんですね! しゅぴーん!」 |
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「何を言ってるのかしらこの子……ともかく、カスミちゃんはジリュウの精鋭部隊、霧幻衆ってのに入ってたのよ。そこから彼女を連れ戻す為に色々残ってやってたわけ」 |
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「ふむふむ……それじゃ、残った人達以外のカザクラの隊員さん達はキナイに戻ったのです?」 |
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「うん、そしてすぐにトオミフジ州へと出発したわ。なんでもアオイサガって国が鬼に滅ぼされたらしいのよね」 |
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「うわ、そいつは大変なのです! 平定しなきゃいけないのに、いきなり大変なのですね」 |
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「でさ……トオミフジ州って正確にはどこ?」 |
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「まあいいけどね。ほうほう、トオミフジ州は細長い地域なのね。狭いのかと思ったら意外に広いし、油断は禁物ね」 |
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「細長くて、お菓子みたいなのです!」 |
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「なんでもお菓子に見えてそうね、プルミーは……さて、次はセトゥーナのカムライだけど。イヨシキの王様、タダチカ公の信頼を得る為に、試練を受けている最中みたい」 |
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「どうでも良いですけど、楓華列島の人の名前って独特なのですよね。タダチカとかトキタダとか」 |
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「なかなか覚えるのが大変かもねー……プルミーは特に」 |
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「うう、全くその通りなのです……それで、信用を得る為の試練みたいですけど、そんなにカムライの人って信用されて無かったのですか?」 |
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「あー、うん。そうでもないとは思うんだけどね。ちょっとセトゥーナにくる途中、国家公認の海賊に剣を抜いちゃったみたいね」 |
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「ああ、あのえーと……ジンラさん達ですね?」
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「そそ。あれの心象は良くないだろうから、試練を乗り越える事でなんとか挽回しなきゃね」 |
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「私も気をつけなきゃ……目の前のお菓子をたべたら、センパイのオヤツだった、みたいな事がないように」 |
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「それはもう切実に……食べないでよ、頼むから……ああ、私のオヤツ」 |