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章前
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零章
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序章
第1章
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第2章
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第5章
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第7章
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第10章
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第11章
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第12章
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第13章
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終章
その後、僕はナゴー博士に会い「アビスクリムゾン」の効果と事件のあらましを聞いた。
もっともそんな話、グリーズに言わせれば――知る必要の無い――事だった。
事実、僕はその話の殆どを覚えていない。
ただ確実なのは、このまま任務を続ければ……この湖の街オーシャは壊滅するだろうという事だけだ。
プリスに助けて欲しいと言われた……この街を――
GM:
それでは一週間後、実験の日に再びナゴー博士に会いに来たって事で良いですね?
グリーズ:
かまわない。その一週間、俺とロムは2人で適当に街中をウロついて終る。探し回っている風を装ってな。
メリア:
あ、私は実験に立ち会いません。プリスと同じようにお城にいます。一応ラムウェイ領のご息女だし♪
グリーズ:
問題無い。俺達2人に任せておけ。
GM:
では地下水道のアジトでナゴー博士と合流すると、街の裏路地へと3人でやって来ます――「さて、この辺りで良いか……」――見つめる先にはセイレーンの女性冒険者が1人、他に人通りはいないね。
ロム:
え、ここでやるの?
GM:
≪土塊の下僕≫(コロコロ)……成功。ナゴーオリジナルの10cm程度の小さな下僕が現れます。
ロム:
おい! 僕の話を――
グリーズ:
グイっとロムの胸元を掴む!――黙れ。
GM:
小さな人形は赤い液体の入った小瓶を持つと、トテトテと女性冒険者に近づき――パリンッ――足元で小瓶を割ります。赤い液体が気化し、その女性が吸い込みむせだします――「さて、あとは成り行きを見守るか……無事にキマイラ化を発動すれば良いのじゃが……」
――その女性が、喉に手を当てて苦しみだす。それと同時に背中の衣服を突き破って黒いコウモリの翼が現れた。
ロム:
もう良いだろ! 放せグリーズ!!
グリーズ:
チラリとナゴー博士を見ます。
GM:
じっと状況を観察しています。まだキマイラ化しただけです。モンスター化するまでは待機です。
グリーズ:
ロムを放さない――まだだ、まだモンスター化していない。
ロム:
グリーズ!!!
――無表情な目でグリーズが僕を見つめ返してくる。その瞳にはどんな感情も感じられなかった。
GM:
「こ、殺す……全てが……憎い! 許さない! 殺してやる! 血を…臓物を…どいつもこいつも……全員!!!――う、うう……う……ぐぐ…グアアアアアアアッ!!!」――呪いの言葉を撒き散らし、セイレーンの女性がバットハーピーにモンスター化します。
ロム:
く…なんで……唇から血が出るほど歯を食いしばります。
GM:
ではナゴー博士が――「ふむ、どうやら問題は無さそうじゃの……ではわしは帰る。あとは任せたぞ」――ナゴー博士は興味を失ってアジトへ戻っていきます。それと逆に、バットハーピーは大通りへ続く脇道へと姿を消します。
グリーズ:
行くぞロム……これが現実だ。
ロム:
………………グリーズを追って走り出します。
GM:
では2人がバットハーピーを追って脇道へ入った所で――ドサリ――と目の前でバットハーピーが落下します。すでに絶命しています。
ロム:
え?
GM:
バットハーピーの対角線上、そこに4人組の冒険者が――「やれやれ……街中でモンスターか、噂は本当だったみたいだな……」――4人組はバットハーピーが倒れて武器を収めます、そしてその中の1人がキミ等に気が付き――「ん? キミ達は?」
グリーズ:
ああ、モンスターの声を聞いて急いで駆けつけたんだが……どうやら獲物は先に狩られてしまったらしいな。
GM:
「すまない、横取りするつもりはなかったんだ……ただ、このまま行かれると大通りだしね」――と、笑顔で返されます。
グリーズ:
ふっ…と笑って――いや、助かったよ。【竜牙旅団】団長のグリーズだ――握手を求めるか。
GM:
「俺は【黄金の槌】団長ガオウ、キミ達もこの街の噂を聞いてやって来たのか?」
グリーズ:
そんな所だ。俺達はここのご領主に頼まれている。原因は不明だが冒険者のモンスター化が多発していてな、それを調べて解決してくれと依頼された。
GM:
「そうか、そんな事態に……わかった、俺達も事件解決に協力する。俺達4人は大通りにある宿に泊まっている。何かあったら連絡してくれ」――笑顔を向けて、4人組は去って行きます。
――彼等は何て呼ばれているのだろう……“法の守護者”“正義の使徒”“伝説の勇者”
――もしかしたら、ただの冒険旅団なのかもしれない……でも、僕には彼等がとても眩しかった。
――僕は気が付いていなかったけれど、僕の心の中にはすでに闇が入り込んでいて……――
ロム:
彼等は……僕等の邪魔をしに来たのかな……。
グリーズ:
そうだ。俺達の仕事には障害が多い……だからこそ、俺達がいるんだ。
ロム:
………………。
一方、ロムとグリーズが実験に立ち会っている時、メリアは1人でプリスに会いに来ていた。
メリア:
トントン――ドアをノックします。
GM:
では【技】の目標レベル2で判定して下さい。
メリア:
(コロコロ)……あ、成功!
GM:
部屋の中から咳き込む声が聞こえました。それから少しして――「どうぞ、開いてます」
メリア:
じゃあ部屋に入って……あの、大丈夫ですか? 何かご病気でも。
GM:
プリスは机の上に置いてあった瓶を引き出しにしまって――「いえ何でもありません……いつもの事ですから……それに、影法師さんに薬を処方してもらうようになってから、少しずつだけど元気になって来てるんです」
メリア:
………………。
ロム:
………………。
メリア:
あの、聞いても宜しいでしょうか?……ロムはその病の事を知っているのですか?
GM:
プリスは首を横に振ります。
メリア:
どうしてですか? 私の護衛の為とはいえ、ここに来てあなたに会うのをロムは楽しみにしていました。それぐらい私だってわかります。
GM:
「いいえ、今ロムはこの街の為に事件を解決しようと必死になってくれているんです。だから、この事は事件が解決したら言おうと思います。今は……彼の負担になりたくないんです」
ロム:
!?(←なんか我慢している)
メリア:
そう……ですか……。
GM:
「昔、彼ってばいっつも虐められてたんですよ? それを毎日私がかばって……ふふ」――懐かしむように笑います――「でも、この街からいなくなる前……ロムったら『今度は僕がキミを守る』って言ってたんです……強くなって今度は自分がって……」
メリア:
そして……ロムは帰ってきた……。
GM:
微笑みます――「だからロムには頑張って欲しいんです。お願いしますメリアさん、この事は内緒にしておいてくれますか?」
メリア:
………………ええ、わかりました。ロムはきっとこの事件を解決すると思います。あれほど優秀な冒険者を私は見た事がありませんもの♪
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第7章
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