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終章
これから僕達は善良な人達を殺さなければならない。なぜなら、彼等は任務の邪魔になるからだ。
今までもキマイラ化した冒険者を僕は殺した。
でもそれは、心のどこかで「仕方無い」と割り切っていた。
モンスターになってしまったのなら仕方ない……と。
僕の前には闇の壁があった……もちろん実際にあるわけではない。
ただ、僕は何となく理解していた……これ以上進めば、確実に僕は戻れなくなる……と。
GM:
さて夜になりましょうか?
メリア:
あ、その前にやりたい事があるの。グリーズがナゴー博士に会っている間の事。
GM:
ではどうぞ。場所はお城かな?
メリア:
お城の中庭、噴水とかある石に腰掛けて、私は1人でペンダントのロケットを開けて中の絵――会った事の無い母親を見ている。
ロム:
じゃあそこに出てこよう――メリア?
メリア:
パチンッ! とロケットを閉じてすぐにしまう。
ロム:
今のは……?
メリア:
何でも無いよ♪ 気にしないで……それより決まった? 別にロムが居なくたってもただの冒険者ぐらい、私とグリーズだけで十分だしさ♪
ロム:
いや、悪いけど僕は行くよ。
メリア:
それは……私やグリーズがあなたの事を裏切り者って報告するかもしれないから?
ロム:
まぁ…半分はそうかな……でも、もう半分は自分の意思だ。僕は任務の為のあの4人を殺す。たとえそれが、闇への第一歩だとしても。
メリア:
………………。
ロム:
僕にとって、この街はどうなっても良いところだし、結社の任務も実はどうでも良い……ただ、僕はプリスだけは守りたい。たとえどんな事をしても……彼女が僕の事を軽蔑したとしても。
メリア:
………………そっか、決めたんだね。
ロム:
ああ。
メリア:
わかった、それなら私は何も言わないね♪ がんばりましょ、ロム♪
――メリアは笑って僕に手を差し伸べてくれた。でも僕には……その時のメリアの笑顔が、まるで泣いているように見えたんだ……。
その後、グリーズが「アビスクリムゾン」をもらって来た事で、作戦が変更させられる。
宿屋の1人を誘き出すまでは同じだが、その1人に「アビスクリムゾン」を投与しキマイラ化させ、そこに残りの3人を呼びつけ同士討ちを狙う。そして残った方にトドメを刺すという作戦だ。
グリーズ:
では俺とロムは先に地下水道へ行って待ち伏せている。メリアは巧く誘い出してくれ。
メリア:
わかった。でも薬は私が持っちゃってて良いの?
グリーズ:
そいつが地下水道に入った所で、俺とロムでそいつを押さえ込む、その時にお前が薬を投与するんだ。
メリア:
OK、わかった。じゃあ行ってくるね♪
GM:
では2人は地下水道へ、メリアは【黄金の槌】の1人が待機している宿屋に行くんだね。
メリア:
そうでーす!
GM:
じゃあメリアの方から処理します。宿屋に着くと、1階の酒場部分で寡黙に座っている男が1人。
メリア:
そう言えば【黄金の槌】のメンバー構成ってどうなの?
GM:
ふむ、グリーズ達なら調べ上げているはずの情報なので教えましょう。団長が武人のガオウ、団員が医術士のヘヴン、忍びのヘル、重騎士のゴルディ。ヘヴンだけが女で、ゴルディが中年男性。宿屋に今回残っているのはゴルディだね。
メリア:
じゃあそこに飛び込んでくる――「た、大変です!!!」
GM:
寡黙に座っていた男がメリアを見ます。
メリア:
息を切らせながら――「私、【竜牙旅団】のメリアって言います! 助けて下さい、みんなが……みんなが……!」
GM:
ガタッと立ち上がってメリアを見据えるゴルディ。
メリア:
必死さを訴えます。演技演技。
GM:
では【心】で対決しましょう。彼はキミの事を初めて見るしね。多少疑います。
メリア:
趣味で≪言いくるめ≫を取っておけばよかったなぁ(コロコロ)……10だから、2レベル成功。
GM:
(コロコロ)……1のクリティカル(笑)
メリア:
え!?
GM:
ゴルディは何も無かったかのように言います――「地下水道のどこだ? 案内してくれ」
メリア:
あ、え、はい。付いてきて下さい!
GM:
メリアは普通に地下水道へ向かうのですね?
メリア:
う〜ん、そうだね、向かうと思う。私は自分の嘘がバレてるとは思ってないし。
GM:
では人気の無い、夜の路地裏に入った所でメリアはゴルディから奇襲を受けます。ここから戦闘です。
◇ イニシアチブ ◇
[1]ゴルディ(30)
[2]メリア(29)
GM:
戦略ポイントはこっちが[奇襲に成功した]で+4点。
メリア:
私は[驚き、混乱している]で−4点だと思う。ちょっとまずいかも……。
GM:
ではゴルディが+8点の戦略ポイントを持った状態で、イニシアもこっちが先と……まだ、アビリティは使わないであげよう。メリアはまだ子供だしな(コロコロ)……【体】の4レベル成功――「貴様、ただの子供では無いな……何者だ」
メリア:
(コロコロ)……【体】は無理だよぉ……かなり痛い、あと4点もらったら負傷HPになっちゃう。奇襲だし背中を斬られながら――睨む。
GM:
「その殺気……やはりな。どうやらナゴーの仲間と言った所か? 俺を罠に嵌めるつもりだったようだが……甘いな」
メリア:
明るい口調で言い返す!――まさか見破られてるなんて思わなかったな♪ オジサン結構やるんだね♪
GM:
「大人をからかうもんじゃない……悪いが一撃で死ねると思うな、お前にはナゴーの居場所を吐いてもらわねばならん。子供だとて容赦はせん、降伏するなら今のうちだぞ」――次からは戦略ポイント使って行くので。
メリア:
ど、どうしようグリーズ?(笑)
グリーズ:
俺はその場に居ない。
メリア:
ロム?(笑)
ロム:
僕もいない。
グリーズ:
ただ、プレイヤー的な意見を言うなら逃げた方が良い。こういうシナリオでこの作戦を立てた時点で、このGMは本気で殺しにかかる。
ロム:
キャラクター的には?
グリーズ:
任務の為だ。死んでもそいつだけは殺せ。
メリア:
………………。
GM:
どうしますか? メリアの番です。
メリア:
前髪で顔に影がかかりながら呟く――絶対逢いに行くんだ……。
GM:
「なんだって?」
メリア:
覚悟を決めます。グリーズから預かってた「アビスクリムゾン」を地面に叩きつけて割ります!
グリーズ&ロム:
『何ッ!?』
GM:
でもそれじゃあ、ゴルディだけじゃなくメリアまで巻き込まれるけど!?
メリア:
構わない、このまま戦っても負けるだけだし、だからって私はお母さんに逢う前に死ぬわけにはいかない。それならキマイラ化に耐え切るのに賭ける!
GM:
良いでしょう。ではメリアは【心】の目標値8レベルで判定して下さい。失敗すると強制的にキマイラ化します(コロコロ)……ゴルディは16で0レベル、キマイラ化します(笑)
メリア:
私はグリモアエフェクト!(コロコロ)……駄目だ、私は18。みんなお願い!
グリーズ:
(コロコロ)……すまん、16だ。
ロム:
15!!
メリア:
……え?
GM:
その瞬間、憎悪、恐怖、猜疑、嫉妬、虚栄、怨念、傲慢……メリアの心を邪悪な悪徳が満ちてきます。そして目の前には無防備に頭を抱える人間が1人。
メリア:
邪念のまま手を突き出し(コロコロ)……≪スキュラフレイム・奥義≫――燃やします。
GM:
キマイラ化も決定だし、ゴルディは燃やされて死亡しましょう――「うう……そんな……こんな子供に……――
メリア:
五月蝿い、黙れ!――炎を強くする!
GM:
では悪徳によりグリモアの加護を失い、メリアは完全にキマイラ化します。[幸運度]が0になって、キマイラ形質表からキマイラ化の形質を選ぶか、ダイス振って決めるかして下さい。
メリア:
じゃあ片方だけ振る(コロコロ)……5。この中なら……「ガーゴイルの翼」にする。炎を強くすると同時に背中の服を突き破って石状の翼が生える!――死ね。
GM:
その炎でゴルディは完全に灰になります。
メリア:
少しの間、その灰を眺めたあと……何度か翼を動かしてみてから――
GM:
では地下水道で待ち伏せしているグリーズとロムですが、来るはずの方向からは1人しか来ません。
メリア:
キマイラ化したらセッション中、ずっとこのままだよね? ズズ…ズズ……と、私は翼を石畳に引きずるように歩いてきます。
ロム:
メリア?
グリーズ:
お前……その翼は。
メリア:
アビスクリムゾン……アレ、使っちゃったけど……いいよね? 宿屋に残っていた重騎士はちゃんと始末して来たから……さ。
グリーズ:
かまわんさ、ただし囮役のキマイラは……メリア、お前がやれ。
ロム:
グリーズ!?
メリア:
いいよ……私がやる――そのまま地下水道の奥へ歩いて行きます。
ロム:
メリア……。
グリーズ:
ロム、お前も覚悟を決めるんだな――俺も奥へ入って行く。
ロム:
僕は……――少し迷った後、2人の後を追って入って行きます。
そして、湖の街オーシャの地下水道に、少女の悲鳴が響き渡る……――
メリア:
キャーーーッ!!!――と力の限り叫びます。
グリーズ:
気配を探るぞ。奴等がやって来る足音が聞こえてきたら、戦っている雰囲気の音を出す。途中から多少本気で戦いだす。
ロム:
……わかった。どちらかと言うと、僕らがメリアに押されている方向で。
GM:
では(コロコロ)……「大丈夫か!……な!?」――【黄金の槌】団長のガオウです。
ロム:
くそっ……メリアを、メリアを止めてくれ!!
グリーズ:
不思議な赤い霧が突然……だが、仲間だったメリアを俺達は……く、くそ!!
ロム:
メリアを斬るなんて……そんな事――
メリア:
そのスキを付いたかのように、ロムに体当たりで突き飛ばします。
ロム:
わざと後ろに飛んで壁にぶつかろう。
グリーズ:
ロム!!――とロムに近寄って、ガオウ達をメリアと俺達で挟むように移動。
GM:
それは勇者的な行動を取ってしまうな……ガオウと、駆けつけた2人の仲間はロム達の前に立ってメリアに武器を構えます――「仲間と戦うのは辛いよな……ここは俺達に任せておけ」
グリーズ:
あ、ああスマナイ……――ニヤリと立ち上がろう。戦闘に入っていいかなGM?
GM:
いいでしょう。そっちの戦略ポイントは「奇襲に成功した」「相手を包囲した」「罠にはめた」「逃走できない状況にある」の4つ、NPCは「士気高揚」なのでロム達が+12点ですね。ちなみに【黄金の槌】の団長はキミ等よりレベル高いです。
◇ イニシアチブ ◇
[1]グリーズ(46)
[2]メリア(29)
[3]武人ガオウ(43)
[4]ロム(27)
[5]忍びヘル(25)
[6]医術士ヘヴン(22)
GM:
【黄金の槌】を真ん中に挟んで全員前衛として戦闘開始です。
グリーズ:
まずは俺だ。後ろから回復役の医術士を本気で殴り殺す――≪破鎧掌・奥義≫をグリモアエフェクトで発動!(コロコロ)……7。
ロム:
(コロコロ)……駄目、僕は10。
メリア:
私も7!
グリーズ:
よし、自分とメリアへの<感情>が上がって4レベル成功倍で8レベル成功、ダメージは49点の鎧強度無視だ!
GM:
(コロコロ)……1レベル成功しかしない――「えっ!? きゃああ!!」
メリア:
状況が把握できないうちに、3人まとめて≪ニードルスピア≫(コロコロ)……4レベル成功、ダメージは回避できなかった人に17点!
GM:
(コロコロ)…………駄目だ、3人とも喰らった。
ロム:
僕は俯いたまま剣を抜きます。戦略ポイント使って[コンビネーション]! 医術士に向かって≪居合い斬り≫――僕は、彼女を救うためなら……地獄に落ちたって構わない!
グリーズ:
決断、したようだな。
ロム:
(コロコロ)……4レベル成功! 【体】の43点!
GM:
一連の流れで医術士ヘヴンが死亡します。彼女が倒れるのを見て団長ガオウがロムとグリーズに叫びます――「どういうつもりだ!?」
グリーズ:
[コンビネーション]――どうもこうも……こういう事だ(コロコロ)……≪剛鬼投げ≫2レベル成功でガオウに!
GM:
「くっ!?」(コロコロ)……よし、こっちも2レベルで[ガード]発生! 鎧強度が2倍だ!
グリーズ:
甘いぜ、冒険者を相手に戦った事は無いのか? 鎧強度無視で13点ダメージ!
GM:
「ぐはぁ……くそ、罠に嵌められたのか!? まさか貴様等がナゴー博士の協力者だったとは」――団長ガオウは忍びのヘルと背中合わせになります。
メリア:
[コンビネーション]――絶対に逢いに行くんだ……その為に、あなた達は死んで(コロコロ)……8レベル成功の≪スキュラフレイム・奥義≫をガオウに。ダメージは54点。
GM:
「くっ! 俺達が…俺達【黄金の槌旅団】が……貴様等のような邪悪な存在に負けてたまるか! この街をこれ以上、お前達の実験場にはさせない!!」
ロム:
“街”って言葉に胸が痛みます。だからって一度血に濡れた剣は二度と白刃には戻らない。[コンビネーション]グリモアエフェクト! ≪居合い斬り・改≫をガオウに!(コロコロ)……自分は15!
メリア:
(コロコロ)……13、ごめん!
グリーズ:
……3――そうだ、それが現実だ。
ロム:
8レベル成功! ダメージは53点!――確かに僕は“悪”の道に落ちた、そして街を守ろうとするキミ達は“正義”なのかもしれない……でも、そんな事は関係無い……関係無いんだ。
GM:
「そんな……正義が……負けるのか……」――ガオウが倒れます――「ヘル……ゴルディ……あとは頼ん……だ……」――死亡です。忍びのヘルがなんとかスキは無いかと――
グリーズ:
そんな忍びに絶望をやろう――ふ…心配するな。宿屋で留守番していたゴルディなら、すでにこの世にはいないんだからな。
GM:
ヘルが驚愕の表情で――「まさかゴルディも!? 不意打ち、騙し討ち、裏切り……貴様等それでも人間か!!!」
メリア:
バサリと羽を動かして――そうだね、人間だったらこんな翼は生えてないよ……ね?
ロム:
人間なら……こんな冷徹にはなれないさ――いつの間にか、僕の瞳から光が消え無感情な灰色をしています。
グリーズ:
そう……これが現実だ――[コンビネーション]≪破鎧掌・奥義≫(コロコロ)……4レベル成功の45点ダメージ!
GM:
(コロコロ)……1レベル成功で駄目だ――「このままでは……せめてこの事実を街の人々に知らせないと……」――自分の番が回って来たら≪ハイドインシャドウ≫を使うと先に宣言しておこう。
グリーズ:
現実を見ろって言っただろう?――≪破鎧掌≫の効果で吹っ飛ばす! 地下水道だし天井ギリギリに!
GM:
では空に舞う忍び!
メリア:
[コンビネーション]、目の前に上がってきた忍びに≪ブラックフレイム≫(コロコロ)……4レベル成功の28点――これで終わり。
GM:
「ぐはぁああああぁぁぁぁ!!!」(コロコロ)……2レベルで燃やされる。だがまだ死んではいない!
メリア:
あなた達は関わってはいけなかったの……。
GM:
「くっそ……まさか、こんなことになるなんて……」
メリア:
私は絶対に逢いに行くんだ……お母さんに。そのためだったら、いくらでも、どんな姿にでもなれる。人殺しだって、魔物だって、悪にだってなってみせる!
GM:
「ぐ……くはぁ……綺麗事を……ぬかすな、この悪魔が!」――まだ死にません。
グリーズ:
綺麗事? 正義だなんだと振りかざしているそれが、本当にこの世界総てに共通する正義だと思っているのか?
ロム:
ごめん――呟いて【体】で攻撃(コロコロ)……4レベル成功。
GM:
(コロコロ)……こちらは8レベル成功! 空中で体をひねって回避――「こんなところでぇ! こんなところで――
グリーズ:
[コンビネーション]
GM:
――こんな所で死んでたまるか!!」
グリーズ:
演出重視で、俺も空中に飛び上がって頭をわし掴み!
GM:
じゃあ、ロムの攻撃を空中でひねって回避したところを、ガッと掴まれる。
グリーズ:
【体】で(コロコロ)……4レベル成功。
GM:
(コロコロ)……よし、8レベル成功! さらに身をひねってクルッと回避!――「ふざけるな、俺がこんなところで死んでたまるか」
メリア:
次は私、[コンビネーション]≪ブラックフレイム≫(コロコロ)……あ、1のクリティカル。8レベル成功のダメージ64点。
GM:
(コロコロ)……3だから、4レベル成功。その一撃で忍びは地下水道の壁にめり込んで死亡します。静まり返る地下水道、キミ達の目の前には3人の死体がある。
ロム:
それらを見つめながら――……本当に、ぼくらは人間を捨てているのかもね。
グリーズ:
違うな…“人間を捨てているから”ではなく、“人だからこそ”こうやって他を淘汰して生きているのだ。
メリア:
どんな言葉を使っても……ただの綺麗事だよ。私達は自分達の為に人を殺した……これが現実、でしょ?
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第10章
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