<七星武侠グラップラー>

 人呼んで、七星武侠――。
 武術を極めし者「武侠」のみが搭乗できる、獣の心を搭載した超格闘型ロボットです。
 武侠の体術をそのままトレースする独特の操作体系を持ち、武侠の熱き魂に呼応して、「斬鉄蹴」「破鎧掌」などをはじめとする究極武術(ウーシュ)の数々を放ちます。その一撃は、まさに天を裂き地を穿つ、凄まじい威力を発揮します。


イラスト:さとをみどり

●開発経緯

 世界最大のシェアを持つコンピュータ企業として広く名を知られる「七星電脳公司」。同社が発表した「巨大ロボット開発計画」は、世界中に波紋と衝撃を及ぼしました。
 それも当然、他に類を見ない高速演算能力を持つ「七星電脳公司」製のサイバーウェアは、当時既に世界中のコンピュータ機器・軍事兵器の凡そ80%強に採用されていたのです。世界最大の兵器企業が誕生する予感に、世界中が七星電脳公司の動向に対して大きな注目を寄せました。
 しかし、七星電脳公司は、世界の誰もが予想すらしなかった形で、巨大ロボット開発計画を完成させます。
 同社は、自社の開発したロボットを、「武侠」と呼ばれる武術の達人にしか操作できない構造とし、ただの一台も販売せず、熱き魂を持ち、人間を超えた戦闘力を持つ武道家「武侠」達に配布していったのです。
 七星電脳公司は、ロボットの用途を武侠達に問うことすら、一切ありませんでした。驚くべきことに、同社はこの「神にも悪魔にもなれる力」を渡す事で、武侠達に世界の命運を委ねたのです。
 その巨大ロボットこそが、獣の心を搭載した超格闘型巨大人獣機、人呼んで「七星武侠グラップラー」なのです。

●武侠

 武侠とは、絶え間無き鍛錬の果てに、人類の限界を超越するに至った武道家達の呼称です。拳法、カラテ、マーシャルアーツなどのあらゆる格闘分野から逸脱した武侠達は、生身ひとつで銃弾を弾き、100mの断崖を跳躍し、手刀で大型トラックさえも容易く切り裂く力を持っています。また、武侠は須らく「道」を極めし者であるが故に、自らの道を迷い無く進む為の、熱き魂と揺ぎ無い意志を持っています。

●武侠トレースシステム

 グラップラーの操縦は、「武侠トレースシステム」と呼ばれる斬新な操作体系によって行われます。広々としたコックピットに搭乗した武侠は、モーションセンサー付きのフィルムスーツを装着し、実際に全身を動かすことでグラップラーを操縦します。武侠の動きと全く同じ動作を、グラップラーが模倣するのです。
 それによって、武侠達の奥義はロボットであるグラップラーにダイレクトに伝わり、究極武術(ウーシュ)と呼ばれる「天を裂き地を穿つ」ロボット格闘術の数々を繰り出すことができるのです。

SPEC DATA
ジェネレータ:重積フィールドエンジン
推進機数:ジェットバーニア16基
装甲材質:アガメムノン鋼
武装:究極武術「斬鉄蹴」「破鎧掌」「ワイルドラッシュ」ほか