<SS-3G トルバドール>

 通信支援ユニットSS(サウンドソルジャー)シリーズは、ロボットによる乱戦が主軸となった現代戦において、欠く事のできない貴重な存在です。
 自ら戦場に飛び込み、通信支援を行う為の十分な戦闘能力を持ち、中でも、周波数調整によって特定の物質だけを破壊する音波兵器「ファナティックソング」は、対処不能の兵器として恐れられています。


イラスト:はまだ

●開発経緯

 戦場の主力が人型戦闘ユニットに移行したことによって発生した最大の問題は、「通信の途絶」でした。
 ロボット同士の戦闘は乱戦になる可能性が高く、各種ジャマーや重力偏向、果ては不可思議な魔力に至るまでが張り巡らされるに至り、従来型の通信手段では回線が確保できないという状態に陥ります。
 残された手段として、単体で戦闘能力を有する人型通信支援機「SS(サウンドソルジャー)」の開発計画が、独立系メガ・コーポレーションの主導で着手されました。
 SSの開発は、その初期段階から、後の量産性を一切考慮しない、コスト度外視での開発が行われました。開発計画は、重力や魔力に作用されない「サウンドユニット」の完成でひとつの到達点を迎えます。驚くべき事に、同システムは安定した通信を確保するだけでなく、同時派生的に攻撃兵器としての有用性が立証されたのです。
 それを以って同時開発の専用武器ユニット計画「SS-Dシリーズ」は破棄され、「サウンドユニット」を基調とした構造に一本化することで、「SS-3G トルバドール」は実用化に至ります。

●サウンドユニット

 トルバドールには、過酷な状況下でも通信にラグを発生させない為に、最新鋭の「サウンドユニット」が搭載されています。
 サウンドユニットは、「肩部アンプ型増幅器」「ギター型通信アンテナ」「頭部テンガロンハット型レーダー」の3基で構成されています。
 サウンドユニットは、情報を特殊な『物質振動数』に変換して伝達するシステムで、これによって、特定した対象にのみ的確に情報伝達することができます。
 そして、この「物質振動数変換機能」は、同時に破壊兵器としても優れた性能を発揮します。敵ロボットの特定のパーツと同質の物質振動数を探し出し、変換された衝撃波をその振動数で放出する事により、「ファナティックソング」を初めとする数々の音波兵器を登場させたのです。的確に目的の物質だけを破壊する音波兵器―――この「見えない衝撃波」から完全に身を守る方法は、未だ確立されていません。

SPEC DATA
ジェネレータ:重積フィールドエンジン
推進機数:ハイドロバーニア6基
装甲材質:硬テクノニウム合金
武装:破壊衝撃波「ファナティックソング」、ギター型通信兼攻撃ユニット「華麗なる一撃」ほか