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序章
 「やーい! 貧乏ーのロムが来たぞー! 貧乏がうつる前にみんなで退治だー!」
 僕に向かってくる石は無数に飛んでくる。
 湖に魚を取りに行ったその帰り道だった。みんなは湖に泳ぎに来ていたらしい。運が無い。
 慌てて逃げだし、せっかく取った魚を落としてしまった。

 「ただいま……」
 誰もいない家にアイサツをして入る。家には誰もいなかった。親は数年前に2人とも死んでしまったから。
 僕は食卓の席について、ぼうっと考えていた。今日の夕食をどうしようか……と。
 その時だった、誰かがドアをノックし勝手に入ってきたのは……。
「ねぇ、これってあなたの魚でしょう? なんで置いて逃げちゃうのよ」
 それが僕とプリスの出会いだった。少なくとも、僕にとっては……――

GM:ではロムから始めようと思います。場所はどことも知らない真っ暗な部屋、その闇の中から男の声が聞こえてきます――「お前がロマーリオ・レイズか?」
ロム:じゃあ僕は傷だらけの状態で鎖に繋がれてるんです。そして虚ろな目のまま――殺せ…僕はどうせ生きている意味は無いんだ……。事件の裏にあんた達みたいな秘密結社がいたなんて……はっ、僕は運が無いよな……。
GM:「そう人生を悲観する事も無い。我等が秘密結社【キマイラ】について、君ほど近づいた人間はいない」
ロム:闇に向かって虚ろに――なんだよ…ここに来て持ち上げたって何も出ないよ……僕が知った結社の情報は散々話しただろう。僕はそれしか知らないし……知ることはできなかった……」
GM:「湖畔の街オーシャを知っているな?」
ロム:ピクッと驚こう――生まれ故郷さ……ほとんど良い思い出は無いけどね。
GM:「その街へ行き、“悲しまない”グリーズ・ガラハッドと“ライト・チルドレン”メリア・ハーミットという2人、【竜牙旅団】に合流し任務を果たせ」
ロム:どういう……事さ?
GM:「我が結社の為に働けと言う意味だ。結社の一員にならないかと言っているんだ」
ロム:……僕が?――少し迷います。が、どうせここで殺されるなら――いいよ。働くさ。僕を結社の一員にしてくれ。
GM:「ふふふふふ……良い返事だ。しかし、我等はお前を完全に信用するわけにはいかない。枷をつけさせてもらうぞ」
ロム:自虐的に――ああ、定期的に飲まなきゃ死ぬ毒薬でも、裏切ると死ぬ呪いでもなんでもすると良いさ……。
GM:「プリス・オーシャという女を知っているな?」
ロム:その名前に一瞬止まりますが、ジャラリッ! と鎖が勢いよく鳴って闇に向かって叫びます――プリスをどうする気だ!!!
GM:「現在、プリス・オーシャは湖畔の街オーシャの領主をやっている。そして領主の側近には、【竜牙旅団】とは別のエージェントが送り込まれている」
ロム:それは…どういうことだ――絞るように!
GM:「その女が大事なら、任務を果たせということだ」――クックックッ…という笑いの雰囲気が声から伝わってきます。
ロム:信用しろって言うのか……お前達を!
GM:「お前に選択肢は無い……違うか?」
ロム:……ああ、わかったよ――頷いてから僕は思う。嫌な思い出しか無い故郷だけど、唯一僕の友達で居てくれたプリス……彼女の為に強くなろうと冒険者になった自分……絶対に彼女だけは……。




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