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第4章
 僕が忘れた魚をプリスが届けてくれてからだった。
僕が街の子たちに虐められるたびに、プリスが助けに入ってくれた。
「大丈夫だったロム? どこも怪我してない?」
優しく心配してくれるプリス、でも僕はプリスにばかり助けられている自分が無償に悔しくて――
「ど、どうしたのロム!? どこか痛いの? え、えっとどうしよう!?」
突然泣き出した僕。
 プリスにどう説明したら良いのか……その頃の僕は声を上げて泣く事しかできなかった。

GM:ではロムの場面です。
ロム:影法師に待ってろって言われたんだよね……窓枠に座ったまま待っていたんだけど、そのうち懐かしい場所にいる事もあってウツラウツラと眠っているって事で。
GM:じゃあロムが寝ている間にプリスが入って来た事にしましょう。最初こそ驚いたものの、プリスはすぐにロムだと気が付いて窓際に一緒に座ります。
ロム:う、うう〜〜ん……――と僕が起きる。
GM:「おはようロム」
ロム:あ、プリス……? あれ?
GM:寝ぼけているロムにプリスは抱きつきます――「お帰りロム♪」
ロム:抱きつかれるの!? それは困惑しながら――た、ただいま……プリス。ごめんね、今まで何の連絡もしないで……――そして僕の事を覚えていてくれたプリスに凄い感激(笑)
GM:「いいよ……こうして帰って来てくれたんだもん♪」
ロム:街に帰ってきてやっぱり虐められたけど、プリスに会えただけでも僕は幸せだ――プリス、僕……冒険者になったんだ。
GM:ではプリスがロムから離れてジッと見ます。そして笑顔で――「うん、強くなったんだね」
ロム:「ああ、その為にこの街を出たんだし……プリス、僕に出来る事は何か無いかな? なんだって良いんだ、プリスの力になる為に帰ってきたんだ」
GM:その言葉にプリスは少し困った顔をしますが――「あんまり……危険な事はロムには頼みたくないんだけど……」
ロム:「ナゴー博士の事かい?」
GM:「知ってたんだ……うん、実はその事……街にその博士がいて悪い事をしているみたいなの、冒険者が突然モンスターになったりする事件も発生しているし、もしかしたら関係があるのかもしれないし……」
ロム:やっぱり……わかった。僕に任せて!
GM:「え、でも……」
ロム:もう僕は昔の僕じゃない。強くなったんだ! それにプリスが困っているなら今度は僕が助ける番さ!
GM:それはプリスはとても嬉しそうに言います――「あ、ありがとう……嬉しい。お願いロム、この街を助けてくれる?」
ロム:ああ、もちろんさ!



 メリアとグリーズがこれからナゴー博士の所在を調べようと話し合った直後だった。
 後ろからメリアに向けて、小さな女の子の助けを呼ぶ声がかかったのは――

GM:「助けてお姉ちゃん!!」――後ろからメリアに向かって走ってくるのは教会で会った女の子です。
グリーズ:ん?
メリア:その子と目線を合わせて――どうしたの? 何かあったの?
GM:「お母さんが! モンスターが現れて! お母さんが大変なの!!」――少女は路地の向こうを指差します。
メリア:ここで待ってて――女の子に言って走り出します!
グリーズ:メリア!!
メリア:一瞬だけ振り向いて……そのまま走って行きます。
グリーズ:ちっ…おい、お前はどこかに隠れていろ――子供に言って俺もメリアを追います――ったく、生粋の結社エージェントのくせに、こういう所はガキで困る。
GM:ではメリアが走っていくと、裏路地の奥にさっきの女の子の母親が倒れています。そしてその上に跳んでいるガーゴイルがいます。
メリア:母親と離れ離れなんて……こんな想いは私だけでいい――待ちなさい!!
GM:ガーゴイルがメリアの方を向きます。ガーゴイルの体には所どころに冒険者がつける鎧が引っかかっています。
グリーズ:それぐらいで追いつこう――どうやら、噂のキマイラ冒険者のようだな。もっとも、すでにモンスター化して助かりそうには無いが……。
メリア:あのお母さんに危害が加えられる前に、ガーゴイルを倒す!!
GM:では戦闘に入りましょう。戦略ポイントはそっちが「士気が高揚している」と「絶対に負けられない理由がある」で+4ポイントかな?

◇ イニシアチブ ◇

[1]メリア(44)
[2]グリーズ(29)
[3]ガーゴイル(21)

GM:全員前衛として距離は10m。
メリア:私から!≪ブラックフレイム≫(コロコロ)……8レベル成功! 32点ダメージ!
GM:(コロコロ)……回避できん。燃え上がるガーゴイル。
グリーズ:やれやれ、無駄な戦いだ【体】で(コロコロ)……2レベル成功。
GM:(コロコロ)……それは8レベルで回避。
メリア:そのまま[コンビネーション]! 母親の前で泣く子は見たくない! <スキュラフレイム・奥義>(コロコロ)……4レベル成功の49点!
GM:(コロコロ)……2レベルか。かなりキツイな。バッドステータスも全てくるし……ではお返しに――「キシャーー!!!」――(コロコロ)……メリアに向かって【体】の4レベル成功!
メリア:[カウンター]を【心】で(コロコロ)……8レベル成功! ダメージ26点!
グリーズ:ふぅ……こんな奴に手間取っている暇は無いんだがな……グリモアエフェクト! ≪剛鬼投げ≫(コロコロ)……――ロムの出目を取って4レベル成功! ダメージは30点。ガーゴイルの頭を握って壁に投げつける!
GM:その一撃でガーゴイルは木っ端微塵になります。
メリア:お母さんに近づいて生きているか確認する!

 その後、生きていた母親とやって来た女の子が無事に再会を果たす。その光景をみて安堵の息を吐くメリアだったが、助けられた母親は酷な一言を言うのであった……――

GM:「助けてくれた事にはお礼を言います……でも、あなた達は早くこの街を出た方が良いわ。でないとあなた達までモンスターになってしまう」――母親はそう言うと、女の子を連れて帰って行きます。
メリア:その2人を見送ります。
グリーズ:行くぞメリア、俺達にとってこの街はただのターゲットに過ぎない。余計な感情は抱くな。
メリア:先に行って……後で追いつくから……。
グリーズ:……ふん――俺はメリアを置いて去っていこう。



 メリアと別れたグリーズだったが、すぐに違和感を感じて周囲を見回す。それは間違いない気配だった……誰かに見られている……――

GM:1人になったグリーズは【心】の目標4レベルで判定して下さい。
グリーズ:(コロコロ)……ちょうど4レベル成功だ。
GM:路地裏を駆けていくお爺さんを見つける。その足取りは素人のものじゃないね。
グリーズ:一気に駆けて追いつこう。肩を掴んで――おい、あんたがナゴー博士だな?
GM:お爺さんはその言葉に反応して――「そういうお主は?」
グリーズ:正解か――大丈夫だ。俺は結社からあんたに味方するように頼まれて来た者だ。【竜牙旅団】のグリーズ……聞かされていないか?
GM:「いや、聞いておるとも……グリーズと言ったな、わしについてこい」――そのお爺さん……ナゴー博士は、街の地下水道へと入っていきます。そしていくつも角を曲がったところに秘密の研究部屋が作られており、グリーズはそこに通されます。
グリーズ:ここが博士のアジトか。
GM:「そういう事じゃ」――部屋の中にはフラスコやら、試験管やらいろいろあります。赤い液体の入ったビンなんかが沢山ありますね。
グリーズ:その赤い液体が『アビスクリムゾン』か?
GM:「そう……これを使うと人は欲望に忠実になり、悪徳を行う事しか考えなくなる薬だ。冒険者はそれによりグリモアの加護を失いキマイラ化する」
グリーズ:なるほど……そのまま暴走しモンスターまで一気に落ちるという事か。
GM:「その通り。問題は液体が気化する数秒の間しか効果が無い事じゃな。おかげで大量に同じバランスで作らねばならん。あと1カ月もあれば十分こと足りる量が完成するのだが……」
グリーズ:わかった、時間をかせごう。
GM:「頼むぞ、それと一週間ごとに薬のバランスを見るために実験をする必要がある、その後始末も頼む。これ以上騒ぎになると、それはそれでやりにくいでな」
グリーズ:つまり、1週間ごとにあと3回は実験が必要であり、4回目が大事件の発動日って事か……ナゴー博士、実はあと2人結社からの協力者が俺と一緒に来ている、機を見て連れてくるが問題無いな?
GM:「ああ、好きにするが良い……わしは結社を信用するしか無いからな」
GM:信用か……まぁ、あんたが俺等を信用する信用しないは関係無い。ただ、結社の命に従う……それが、俺の現実だ。




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