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第7章
 【黄金の槌】旅団と会ってから数日が経った。あと数日で再び実験の日だ。
 僕は夜の城内を歩きながら考えていた――彼等は、きっと正しい事をしているんだろう。
 自分達のやる事に迷う事なく、正義の為・人々の為……ただ当たり前の事を――
 とても遠くに感じた……昔は僕もあそこを歩いていたのだろうか……。
 まるで海の中から陸を眺める魚の気分だった。
 廊下の窓から、静かな夜の暗い湖が見えた。

メリア:どうしよう……プリスの秘密を知っちゃった。
グリーズ:任務には関係無い事だ。どうせ別れる事になるんだ、俺なら放って置く。
メリア:う〜〜ん、私は違うなぁ……どうせ別れる運命なら、最後ぐらいキチンと良い思い出の方が良いよ。
ロム:なんか……僕に明るい未来は無いんだね。
グリーズ:結社に入ったからには、これが現実だ(笑)
GM:では何もしないなら、2回目の実験日になりますよ?
メリア:あ、やるやる! 夜の城内でロムに会いたい。できれば2人っきりで。
GM:ロムがそれで良いなら。
ロム:じゃあ湖を廊下の窓に手を付いて眺めているって事で――ふぅ……――とか溜息ついている。
メリア:後ろから声を――せっかく戻ってきたんだし、近くに居てあげれば?
ロム:関係無いよ……今の僕には彼女は眩しすぎる。
メリア:でも、その人を守る為に今のあなたが居るんでしょう?
ロム:………………。
メリア:………………。
ロム:この街は、あと数週間後に壊滅するんだ。僕達の……僕の手によって……。僕に……彼女の傍にいてやれる資格は無いよ。
メリア:街なんてそれこそ関係無いじゃない。それで大切な人を守れるなら……さ。
ロム:それは“僕にとっての”大切な人さ……彼女の大切な人……大切な街までは守れない。
メリア:でも……。
ロム:いや、解っているさ。僕に選択肢が無い事ぐらい……。
メリア:だからこそ、今はプリスの傍に居てあげなよ。この街が綺麗なままでいられる間、その間だけでも。じゃないとプリス……――と、言いそうになって言葉を飲み込む私(笑)
ロム:???……もしかして、プリスに何かあるのか?
メリア:え!? う、ううん……別に何も――
ロム:メリア!!!
メリア:少しの間沈黙します。そして――………………聞いても、後悔しない?
ロム:う゛。
グリーズ:そこに登場しよう――それを聞けば嫌がおうにもお前は選ぶ事になる。それがこの現実だ。
メリア:グリーズ……もしかして知っていたの?
グリーズ:実は知っていたという事で。俺は団長だし影法師から聞いていたのだ。
GM:じゃあグリーズは最初から知っていました。
ロム:……いや、それでも教えて欲しい。メリア、プリスがどうかしたのか?
メリア:じゃあ教えちゃおう……プリスが病気な事、影法師から貰った薬を飲んでいる事、そしてこの後は私の推論だけど……影法師の薬のせいでプリスは病気なんじゃないかな……と。
ロム:そんな……プリスが……。
グリーズ:微量の毒が混じっているのだろう……結社は決して裏切らない。しかし、裏切り者には相応の報復がなされる。
ロム:じゃあ……僕がこの街を助けたりしたら……プリスは……。
メリア:……うん。
ロム:………………。
グリーズ:今はまだ良い。だが、いつかお前も知ることになる、闇の中へと入ってしまったら二度と光の下には帰れないと言う事を……。




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