村の人達から、グドンの情報を手に入れたランド達。
ランドとショウは『グドンの居場所』の情報を、翔剣士と医術士は『グドンの種類と大まかな数』の情報を手に入れたんだ。
集めた情報を整理すると……。
・グドンの種類は犬。
・目撃された数は7匹。その内、弓矢を持ったグドンは2匹。実際の数は、恐らく目撃された数よりも多いと予想される。
・普通のグドンよりも、一回り体の大きなグドンも目撃されている。
・グドンのいる場所は、村から少し離れた森にある洞穴。
これだけ揃えば、グドン退治に行っても大丈夫な気がする。
ちょっとグドンが多いかもしれないけど、これだけの情報があれば、何とかなるだろう。
皆に確認してから、ランド達はグドンのいる洞穴へと向かったんだ。
「君達が数時間歩いていくと、村人達から聞いた、洞穴らしきものが見えてくるよ」
GMが説明する。どうやら、洞穴までは何事も無くたどり着けたようだ。
「『よし、皆! 行くぞっ!!』」
格好よく決めたつもりだったが……。
「『待て。その前に、洞穴の入り口に見張りがいないかを、確認してから入ったらどうだ?』」
すかさず美咲ちゃんに突っ込まれてしまった。
相手は弱いと言っても、幼児並みの知能はある。不意を突かれてしまっては元も子もないだろう。
僕は反省しつつ、GMに告げた。
「すみません、洞穴の入り口に誰かいないか確認してもいいですか?」
「OK。あ、これはダイスロールしなくても大丈夫だよ。……確認してみたけと、入り口周辺にはグドンの姿はないみたいだね」
僕はそんなGMの言葉にがっかり。
どうやら、入っても大丈夫そうだ。
注意深く確認しつつ、ランド達はいよいよ、グドンのいる洞穴に入っていった。
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洞穴を慎重に探索して、グドンが残した食いかすを見つけていった。
罠も今のところないようだ。
「『うーん、グドンいないのかなー?』」
「『もしかするともう別の場所に移動したのかもしれませんね……』」
そう、翔剣士と医術士が話していたとき。
「君達がそう話していると、君達が入ってきた道とは別の道……地図で言うと、この右の道から何者かの足音と声が聞こえてくるよ」
「『どうやら、現れたようだ……』」
クールに決めるショウ。
「『そうみたいだな』」
案の定、犬グドンが3体現れた。
「さあ、皆、どうする?」
GMが訊ねる。
「グドンと戦います!」
僕が宣言する。
「私も戦うわ」
「あ、私も私も!」
「全力でグドンと戦いますよ」
皆も戦う事を宣言した。
「了解。じゃあ、まず隊列を確認しよう。犬グドンは前衛のみで弓は持っていないよ。君達は?」
GMに言われて確認してみる。
ランドと翔剣士が前に、ショウと医術士が後ろにいる。
図にするとこんな感じだ。
「ここで隊列について軽く説明しよう」
GMは以下の事を説明してくれた。
味方前衛 | 敵前衛に攻撃する場合⇒近接攻撃と遠距離攻撃を行う 敵後衛に攻撃する場合⇒遠距離攻撃を行う |
味方後衛 | 敵前衛に攻撃する場合⇒遠距離攻撃を行う 敵後衛に攻撃する場合⇒遠距離攻撃を行う |
要は前衛にいると攻撃しやすくなるが、敵からの攻撃を受けやすくなる。
後衛にいると敵からの攻撃は受けづらくなる代わりに、攻撃しづらくなるということだ。
●行動順を決める
「本当はここで、戦略ポイントの計算が入るんだけど……今回は飛ばしておくよ。この次に説明するから、先に『行動順』を決めよう」
「行動順ってことは、このイニシアチブを使うんですね?」
僕の言葉に、GMは頷く。
「そう。イニシアチブに20面ダイスを振った目を足した数値が、一番高いキャラクターから行動するんだ。数値が決まったら、僕に教えてね」
GMに促されて、ころころとダイスを振った。
「おおっ! 19だ!」
ダイスロールでは最悪の目だけど、行動順では逆にいい目になる。
ちょっと嬉しいな!
それに旅団の皆の中で一番高い値を出したのは、ランドだけ。
結局、以下のような順番で行動することになった。
【ランド⇒犬グドンA⇒翔剣士⇒犬グドンB⇒ショウ⇒医術士⇒犬グドンC】
(1)ランドの攻撃
GM「まずランド君の行動から始めよう。君の目の前に攻撃できる犬グドンは3体いるよ」
ここは無難に犬グドンAを攻撃しよう。僕はそうGMに告げた。
「通常攻撃かな? それともアビリティを使う?」
まだ何が起きるかわからないから、僕は通常攻撃を行う事にした。
「了解。通常攻撃だね。ランド君は……えっと、心攻撃できる武器はつけていないから、体か技で攻撃してもらうよ。ランド君の場合だと、体の方が高いから、体攻撃をおすすめするよ」
「では、体攻撃します」
「では、体の値でダイスロールしてくれるかな? ちなみに攻撃する時のダイスロールの事を『攻撃ロール』と呼ぶから、覚えておいてね」
僕の攻撃ロールの結果、見事、敵のグドンにダメージを与える事に成功した!
「次にダメージを出そう。通常攻撃だから……武器の攻撃力に成功レベルを足してみて」
僕の攻撃力は11、成功レベルは4だから、与えられたダメージは15になる。
その値を僕はGMに伝えた。
「15だね。了解。……14ダメージだから……ランドは犬グドンに相当の深手を与えることに成功した。犬グドンは咆哮をあげながら、ランドを憎しみに満ちた目で見ているよ」
(2)犬グドンAの攻撃
GM「次は犬グドンAの行動に入るよ。怒っている犬グドンAは、ランドに攻撃を仕掛けるよ」
おっと、相手を怒らせてしまったようだ。
これは相手の攻撃を上手く避けなくては!
「犬グドンAの攻撃は技だよ。技の値でダイスロールしてみてくれないかな? そうそう、防御する時のダイスロールを『防御ロール』っていうから、攻撃ロールとあわせて覚えておいてね」
さっそく、技で防御ロールする僕。ランド、技の値が一番低いんだよね……大丈夫かな?
あっ…………。
「残念だったね。こっちは4レベル成功だから……15ダメージが来るよ」
どうやら、グドンからの攻撃をばっちり食らってしまったようだ。
僕はHPをダメージ分減らす為に、シャープペンシルを手にした。
「ちょっと待った! ダメージはまだ決まってないよ」
「え? あっ、そうか!」
そういえば、ランドは鎧を着ていたんだった。鎧を着ていると、敵からのダメージを減らすことができる。
更にこのゲームでは、敵の攻撃によって減らせるダメージの量が変わってくる。硬い鎧は力任せの体攻撃をよく防ぎ、細い鎖を隙間無く編みこんだような鎧は、急所狙いの技攻撃を防ぎやすいんだ。
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今回の場合、ランドは鎧で、技のダメージを3点まで減らすことができる。だから15−3=12で、ランドは12ポイントのダメージ!
現在のHPは59だから、12減らして、残りHPは47だな。……まだまだ平気だけど、油断したら大変だ。
と、いつの間にか……
(3)翔剣士の攻撃
(4)犬グドンの攻撃
は終わっていて、美咲ちゃんまで出番が回っていた。
(5)ショウの攻撃
「私はニードルスピアを使います。いいですか?」
ん? どうやら美咲ちゃんはアビリティを使って攻撃するらしい。
「OK。アビリティを使う場合も攻撃ロールを行うからね」
美咲ちゃんが20面ダイスを振る。結果は?
「2レベル成功です」
「こっちは1レベル成功だから……ショウのニードルスピアは犬グドンを貫いたよ。ダメージを出してくれるかな? ランド君と同じく武器の攻撃力と成功レベルを足してみて。それにアビリティの修正を加えた値が今回のダメージになるよ」
なるほど、アビリティを使えばダメージが増えたりするんだな。
「あ、そうそう、キャラクターシートの回数のところの○を一つ、塗りつぶしておいてね。今回の場合はニードルスピアの回数にある○を一つ塗りつぶすんだ。皆、アビリティを使ったら、忘れずにチェックしてね。○が全部塗りつぶされたら、もうそのアビリティは使えないよ」
「はい、わかりました」
美咲ちゃんはGMに言われたとおり、回数の欄をひとつ塗りつぶす。
美咲ちゃんがアビリティを使ってくれたお陰で、犬グドン全員にダメージを与えるのに成功。特に犬グドンAは、かなり消耗している。
その後も、僕達は次々と攻撃を決め、見事犬グドンを倒したんだ!
「おめでとう、君達の勝利だよ。この調子でこれからの戦いも頑張ってね」
GMからの言葉もなんだか嬉しくなってしまう。
今回の戦いで、通常攻撃とアビリティの使い方を覚えることができた。
ちょっとまだぎこちないけど、この調子でどんどん探検して、冒険を成功させるぞ!
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