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 なにはともかく、やってみよう!?
 TRPG版『無限のファンタジア』の体験日記です。
 登場人物の紹介はこちら。                          画:888

TRPGって?
キャラメイク
冒険開始!
GMに挑戦
終章


第18話 〜おにいちゃん、大いに困る〜
☆月×日
 文京コンベンションに参加した僕。
 かなり緊張したけど、初めてのTRPGを楽しく体験する事ができたんだ。
 TRPGとは、アドリブで進む劇みたいに、そのときそのときの状況を判断して、自分のキャラクターの行動を決められるんだ。
 たとえば、敵の盗賊団と交渉して戦わずに事件の解決を図ったり、モンスターが潜んでいる洞窟に罠を仕掛けて戦況を有利にしたりする事ができたり……。
 特に僕は今回のTRPGで、キャラクターが戦闘不能になるというハプニングに遭ったけど、キマイラ化する事によって、見事復活! しかもピンチだった美咲ちゃんのキャラクターを助ける事もできて、かなりおいしい思いをさせてもらったんだ。



 TRPGを体験した翌日。
「というわけで、僕のランドは依頼を達成したんだ」
 あの時の興奮が冷めないまま、僕はゲーム好きな友達2人に、初めてのTRPGの話をしてあげたんだ。
「へえ、何だか面白そうだな。TRPGって」
 どうやら、友達も興味を示している様子。
「うん。とっても面白かったよ。難しいゲームかと思ったんだけど、実際やってみたら、そんなに難しくなかったしね」
 そんな僕の言葉に、友達は妙に喜んでいる。
「なあなあ、その次のコンベンションって何時なんだ?」
「えっと……確か、来月の末だから……かなり先だな」
「えー、それまでできないのかよー。やってみたいと思ったのに残念」
 そんながっかりする友達に、僕は思わず声をかけた。
「コンベンションにいけなくても、人数さえ集められれば、僕の家でもできるよ」
「マジ!?」
「じゃあ、皆誘ってやろうぜ! こう、すっげー冒険できるようにさっ!」
「え、えっと……沢山来られても対応しきれないよ……」
「じゃあ、何人なんだ?」
 友達に言われて、僕は少し考えて答える。
「4〜5人くらいかな?」
「了解!」
「来週までに人数集めておくから、準備よろしくなっ!!」
 ん? これってもしかして。
「よろしく頼むぜ、GMサンっ!!」
 ああ、やっぱり……。
 でもまあ、初心者にGMはキツイだろうし、僕が頑張るしかないか。
「GMやるのは初めてだから、お手柔らかに頼むよ」
 こうして、来週、僕の家でTRPGをやる事が決まったのである。




 GMいうのは、TRPGでのゲームの進行役だ。
 ちなみに僕がTRPGを体験したときにやったのは、ただのプレイヤー。
 つまり、GMは全くの初心者という事になる。
 GMって何を準備すればいいんだ?
 ダイスに筆記用具、キャラクターシートとかのシート類とか用意すればいいのか?
 他にも何かあったっけ?
 いらないノートにいろいろ書いてみたけど、書けば書くほどよくわからなくなってきて………。

 こ、こういうときこそ、妹だっ!
 た、確か前にGMやったって言っていたし、きっと慣れているはずだし!
 そうと決まったら即メール!
 僕はすぐさまパソコンを立ち上げ、妹にメールを送った。



 数時間後。
 妹から返信メールが届く。
『お兄ちゃん、メールありがと♪ ほうほう、むげふぁんのGMをするんだー、いつの間にかプレイヤーさんからレベルアップだねっ! とにかくGMの事なら、私に任せて! とはいっても、GMはまだ4回しかやった事が無いんだけどね』
 持つべきものは、妹だよなーっ!
 さあ、まずは準備に必要なものだけど……。
『GMが必ず用意しなきゃいけないのは、シナリオ! 他には……もし、プレイヤーさん達がダイスとか持っていなかったら、ダイスとか筆記用具とか必要だし……それにキャラクターシートや旅団シート、それとリファレンスシートもコピーして沢山用意しておくと安心だよ。後は……そのときにもよるけど、お菓子とか飲み物とか……朝からやるならお昼も必要だね。あ、食べ物用意するときは、机や手を汚さないよう注意してね。キャラクターシートとかダイスとかが汚れちゃうから。お菓子だったら、チョコレートとか個別包装されているのがおすすめだよ。袋に入っているから、手を汚さずに食べられるしね。とにかく、机や手を汚さないようにお菓子とか選ぶといいと思うよ』
 待て待て、そんなにずらずらと並べられても……。
 えっと、ちょっとここで纏めてみようか。

GMに必要なもの

1.シナリオ(重要)
2.20面ダイス(できればプレイヤーの分も)
3.筆記用具
4.キャラクターシートなどのシート類(多めにコピーする事)
5.お菓子や飲み物(朝からやる場合は、昼食も。机と手が汚れないものがベスト!)

 筆記用具とお菓子とかは、友達に任せるとして……一番問題はシナリオか。
 そういえば、僕達が遊んでいたときに、担当のGMさんは、手元に何か紙の束を持ってセッションをやっていたような気がする……あれがシナリオなのかな?
 とにかく、シナリオ以外は、すぐに準備できそうだ。
 僕はシナリオの事について、詳しく教えてほしいとメールする。
 メールの返答はすぐに来た。

『シナリオの話に行く前に、お兄ちゃん、ルールはちゃんと把握してる? そうじゃないと、プレイヤーさん達に突っ込まれたとき、あたふたしちゃうから、しっかり頭に入れておいた方がいいよ』
 おっと、痛いところを突かれたな。ルールはとにかく、当日までに叩き込んでおかないとな。
『前置きはこれくらいにして。シナリオが何なのかは知っているよね? 今回はこんな依頼が来て、こんな冒険しますっていうのを書いたものだよ。その他にも、その物語に出てくる町の人の台詞とか、どんな敵と戦うのか……もちろん、どんなダンジョンを探索するのかも決めるよ。当日は、このシナリオを見ながら、セッションを運営していくのよ』
 ダンジョンとか、敵とかも決めなきゃいけないんだな………全然考えていなかった。
 や、やばいかも………。うう、どうやって、シナリオ作ろう……。
『ここまで話したけど、お兄ちゃんの事だから、シナリオの中身なんて、全然考えていないんじゃないかな? ましてや初めてなんだもん、いろいろと困っているだろうし。せっかくだから、明日、チャットで話しながら、シナリオを決めていこうよ。大丈夫、私がいろいろと教えてあげるから安心してね♪』
 というメールの最後にチャットのURLも記載されていた。
 た、助かった〜。
 というか、なんでそこまで妹は分かっているんだ……。や、やっぱり血がつながっているからなのか……。
 僕は妹に明日、チャットで話す事をメールで伝えた。
 でも……これで本当に大丈夫なのか?
 ちょっとした不安を胸に、僕はゆっくりとベッドに横たわったのである。




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