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なにはともかく、やってみよう!?
TRPG版『無限のファンタジア』の体験日記です。
登場人物の紹介は
こちら
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画:
888
TRPGって?
第1話
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第2話
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キャラメイク
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冒険開始!
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GMに挑戦
第18話
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第21話
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第22話
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第23話
終章
第24話
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第25話
▼月↓日
この日僕は、生まれて初めて、本当の恋を知った。
こんな辛い想いをするなら、知りたくなかったけれど………。
いつもの朝。
いつもの交差点。
僕はいつものように町を歩いていた。
今日は休日。
山ほど出されたレポートをやっと片付けて、僕の心は晴れやかだった。
もちろん、天気も良い。
こんな日なら、外でTRPGをするのも面白いかもな……。
風でキャラクターシートとかが飛ばされそうだけど。
そんな他愛のない事を考えながら、ぶらぶらと歩いていたんだ。
数時間後、僕は目当てのCDと本を手に入れて、ほくほくと店を出ていた。
「このゲームのCD、なかなか見つからなかったんだよな」
僕が買ったCDは、ファンタジーRPGのサントラだ。
「TRPGとかで、説明している間とかに、この音楽を流すと雰囲気出そうだよな……」
その隣には、美咲ちゃんがいてくれれば………なんてね。
ああ、何か、TRPGしたくなったっ!
また友達を誘って、TRPGしようかな?
もちろん、美咲ちゃんも誘ってっ!
そう心の中でもんもんと考えていると……。
「あれ?」
見知った顔が横切った。
僕は目を凝らして、もう一度、見た。
「美咲ちゃんっ!?」
間違いない、美咲ちゃんだ!
よし、先に美咲ちゃんを誘って、皆でTRPGしよう!
さっそく僕は美咲ちゃんの所に駆け寄ろうとする。
「みさ…………」
だが、僕の名を呼ぶ声が、途中で途切れた。
なぜなら。
「お待たせ。待たせちゃった?」
普段は見せない、とびきりの笑顔。
「今日は何処に行こうか? いつもの所にする?」
とても楽しそうにしゃべっている。
「あ、あそこもいいかも。新しいクレープ屋を見つけたの。そこに行きましょ」
そういう美咲ちゃんの隣には、すらりと僕と同じくらい背の高い人が立っていた。
いや、それだけならまだいい。
以前、文京コンベンションで作ったキャラクター、ショウにそっくりだったんだ!
ばさり。
思わず手に持っていた荷物を落としてしまった。
まさか、まさかまさかまさか!!
美咲ちゃんに彼氏がいたなんてっ!!
しかも、かなりの美形で、スタイルも抜群。
僕とは雲泥の差………。
ぽつり、ぽつりと雨が降り出した。
雨はいつの間にか大雨になっていた。
いや、まだ日があるから、にわか雨だろう。
僕は、雨の中、ずっと立っていた。
「あの、大丈夫ですか?」
隣を行くサラリーマンの人に尋ねられた。
「あ、だ、大丈夫です。す、すみませんでした……」
僕は震える手で、雨でぐっしょりぬれた鞄を拾った。
そして、前を見る。
さっきまでいた、美咲ちゃんの姿。
もう、そこには何もなかった。
楽しげに笑う、美咲ちゃんの声も。
見たくない、あの男の姿もなにもかも。
僕の瞳から、なぜか温かい雨が零れ落ちた………。
その後、僕は熱を出した。
一度、妹から電話が来たが、何をしゃべったのか思い出せない。
だけど、あの場面はすぐに思い出せる。
美咲ちゃんが、格好良い男の人と一緒にデートしている姿を……。
そして、その日、美咲ちゃんからメールが来たのにも、気づかなかったのだった。
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第25話 〜僕らの夏は永遠に〜
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